コラム

歯科医師臨床研修マッチング 過去5年の結果分析        

歯科医師は国家試験に受かったあと、1年以上の臨床研修を受けます。その研修先を決めるのがマッチングです。今回、公表されている「研修プログラム別マッチング結果(別添)」を令和3年度から令和7年度まで5年分集計して、地域別・施設タイプ別に、どこが埋まりどこが空いているのかを調べてみました。

先に要点だけ

  • 全国の定員充足率は下がり続けている。令和3年度84.3%→令和7年度75.9%。
  • マッチ者の8割強は大学病院。人気校は5年間ずっと満枠。
  • 県ごとの差が激しい。上位は9割超、下位は2割前後。
  • 診療所の枠は5年で1.6倍に増えたのに、埋まるのは半分ほど。

1. 全国の結果推移:定員は横ばい、マッチ者は減少

年度 プログラム数 募集定員 マッチ者数 空席 定員充足率
令和3年度 417 3,390 2,859 531 84.3%
令和4年度 439 3,382 2,806 576 83.0%
令和5年度 450 3,382 2,728 654 80.7%
令和6年度 474 3,364 2,624 740 78.0%
令和7年度 513 3,437 2,609 828 75.9%

出典:歯科医師臨床研修マッチング結果(別添)令和3〜7年度を集計。

募集定員は毎年3,400人前後でほぼ横ばい。一方、マッチ者数は2,859人から2,609人へと5年間で250人減り、空席は531から828へ約1.6倍に増えました。

歯科医師国家試験の合格者は例年およそ2,000人(第118回は2,136人)。対して研修定員は約3,400人分あるので、そもそも枠の数が研修希望者を大きく上回っています。令和7年度の実数でいえば、定員3,437人にマッチ者2,609人。定員1枠あたり約0.76人しかいない計算で、全体で見れば学生側が選ぶ立場です。

「倍率」について
プログラムごとの応募者数(希望順位登録者数)は公表されておらず、施設ごとの応募倍率は計算できません。そこでこの記事では、公表データから計算できる定員充足率(マッチ者数÷募集定員)を人気の物差しにしています。定員がきっちり埋まる施設ほど志望者を集めた施設、という見方です。

2. 施設タイプ別:大学病院に集中、診療所は枠が増えても埋まらず

タイプ 令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度 令和7年度
大学病院 2,536 / 2,883
88.0%
2,487 / 2,828
87.9%
2,400 / 2,803
85.6%
2,291 / 2,744
83.5%
2,199 / 2,708
81.2%
市中病院 166 / 204
81.4%
157 / 208
75.5%
134 / 210
63.8%
144 / 224
64.3%
165 / 239
69.0%
診療所 157 / 303
51.8%
162 / 346
46.8%
194 / 369
52.6%
189 / 396
47.7%
245 / 490
50.0%

各セルはマッチ者数/募集定員と充足率。施設名から分類(大学病院=大学附属の病院・クリニック等、市中病院=大学以外の病院・医療センター、診療所=歯科医院・クリニック等)。

令和7年度のマッチ者2,609人のうち、大学病院が2,199人。全体の84%です。歯科の臨床研修は今も大学病院が中心といっていいでしょう。

動きが独特なのは診療所で、募集定員は令和3年度の303人から令和7年度は490人へ1.6倍に増え、参加施設も79から132に増えました。それでも充足率は5割前後のまま。枠の拡大に希望者が追いついていません。市中病院は1〜2人の少人数枠が中心で、充足率は6〜8割を行き来しています。

3. 地域別ランキング

地方ブロック別(5年合計の充足率順)

順位 ブロック 5年マッチ / 定員 充足率 R7 マッチ / 定員 R7 充足率
1 中国 677 / 771 87.8% 131 / 157 83.4%
2 関東 5,431 / 6,308 86.1% 1,078 / 1,291 83.5%
3 近畿 1,604 / 1,881 85.3% 321 / 390 82.3%
4 九州・沖縄 1,879 / 2,249 83.5% 321 / 437 73.5%
5 中部 2,277 / 3,028 75.2% 428 / 603 71.0%
6 東北 917 / 1,366 67.1% 172 / 277 62.1%
7 北海道 577 / 885 65.2% 108 / 188 57.4%
8 四国 264 / 467 56.5% 50 / 94 53.2%

都道府県別(5年合計の充足率順)

順位 都道府県 5年マッチ / 定員 充足率 R7 マッチ / 定員 R7 充足率
1 宮城県 317 / 334 94.9% 64 / 69 92.8%
2 東京都 2,817 / 2,994 94.1% 548 / 599 91.5%
3 岡山県 282 / 300 94.0% 52 / 60 86.7%
4 福岡県 1,353 / 1,444 93.7% 245 / 274 89.4%
5 大阪府 1,185 / 1,267 93.5% 234 / 261 89.7%
6 広島県 340 / 380 89.5% 69 / 78 88.5%
7 岐阜県 454 / 509 89.2% 91 / 100 91.0%
8 埼玉県 781 / 897 87.1% 148 / 189 78.3%
9 和歌山県 21 / 25 84.0% 4 / 5 80.0%
10 長崎県 166 / 201 82.6% 24 / 41 58.5%
11 長野県 368 / 446 82.5% 70 / 89 78.7%
12 千葉県 745 / 915 81.4% 152 / 191 79.6%
13 栃木県 46 / 57 80.7% 7 / 12 58.3%
14 兵庫県 167 / 213 78.4% 35 / 45 77.8%
15 山形県 24 / 32 75.0% 8 / 8 100.0%
16 神奈川県 975 / 1,312 74.3% 207 / 268 77.2%
17 福井県 26 / 35 74.3% 7 / 7 100.0%
18 愛知県 880 / 1,189 74.0% 170 / 247 68.8%
19 福島県 390 / 536 72.8% 67 / 108 62.0%
20 滋賀県 44 / 61 72.1% 8 / 15 53.3%
21 鳥取県 17 / 25 68.0% 2 / 5 40.0%
22 新潟県 443 / 654 67.7% 67 / 122 54.9%
23 山口県 27 / 40 67.5% 5 / 8 62.5%
24 鹿児島県 206 / 308 66.9% 28 / 63 44.4%
25 沖縄県 42 / 64 65.6% 6 / 14 42.9%
26 北海道 577 / 885 65.2% 108 / 188 57.4%
27 富山県 13 / 20 65.0% 2 / 4 50.0%
28 京都府 139 / 214 65.0% 31 / 42 73.8%
29 群馬県 38 / 60 63.3% 7 / 12 58.3%
30 徳島県 190 / 307 61.9% 34 / 58 58.6%
31 熊本県 66 / 107 61.7% 13 / 22 59.1%
32 愛媛県 36 / 59 61.0% 8 / 13 61.5%
33 石川県 41 / 68 60.3% 11 / 14 78.6%
34 三重県 27 / 49 55.1% 4 / 10 40.0%
35 静岡県 33 / 64 51.6% 8 / 13 61.5%
36 香川県 30 / 61 49.2% 6 / 15 40.0%
37 宮崎県 26 / 58 44.8% 1 / 8 12.5%
38 山梨県 19 / 43 44.2% 2 / 7 28.6%
39 岩手県 142 / 330 43.0% 25 / 66 37.9%
40 島根県 11 / 26 42.3% 3 / 6 50.0%
41 佐賀県 13 / 31 41.9% 4 / 7 57.1%
42 青森県 30 / 73 41.1% 6 / 15 40.0%
43 奈良県 21 / 52 40.4% 5 / 12 41.7%
44 茨城県 29 / 73 39.7% 9 / 20 45.0%
45 秋田県 14 / 61 23.0% 2 / 11 18.2%
46 高知県 8 / 40 20.0% 2 / 8 25.0%
47 大分県 7 / 36 19.4% 0 / 8 0.0%

都道府県別(各年度充足率の5年平均順)

順位 都道府県 R3 R4 R5 R6 R7 5年平均
1 宮城県 100.0% 100.0% 92.6% 89.6% 92.8% 95.0%
2 東京都 97.0% 95.5% 94.1% 92.4% 91.5% 94.1%
3 岡山県 91.8% 96.7% 98.3% 96.7% 86.7% 94.0%
4 福岡県 93.6% 94.8% 93.8% 96.6% 89.4% 93.6%
5 大阪府 98.0% 95.6% 93.2% 91.4% 89.7% 93.6%
6 広島県 93.2% 89.3% 93.5% 83.1% 88.5% 89.5%
7 岐阜県 85.3% 91.3% 89.3% 89.0% 91.0% 89.2%
8 埼玉県 91.8% 92.7% 91.6% 81.9% 78.3% 87.2%
9 和歌山県 100.0% 100.0% 60.0% 80.0% 80.0% 84.0%
10 長崎県 100.0% 92.7% 92.3% 70.7% 58.5% 82.9%
11 長野県 84.4% 86.5% 73.0% 89.9% 78.7% 82.5%
12 千葉県 85.6% 83.0% 79.2% 79.4% 79.6% 81.4%
13 栃木県 63.6% 91.7% 90.9% 100.0% 58.3% 80.9%
14 兵庫県 76.5% 77.3% 77.8% 82.2% 77.8% 78.3%
15 福井県 57.1% 85.7% 42.9% 85.7% 100.0% 74.3%
16 神奈川県 77.5% 68.7% 71.9% 75.9% 77.2% 74.3%
17 愛知県 79.6% 79.2% 72.3% 70.4% 68.8% 74.1%
18 山形県 83.3% 83.3% 60.0% 42.9% 100.0% 73.9%
19 滋賀県 100.0% 81.8% 54.5% 76.9% 53.3% 73.3%
20 福島県 81.3% 77.6% 72.9% 70.1% 62.0% 72.8%
21 鳥取県 60.0% 100.0% 60.0% 80.0% 40.0% 68.0%
22 新潟県 76.1% 78.0% 67.7% 60.9% 54.9% 67.5%
23 山口県 75.0% 100.0% 25.0% 75.0% 62.5% 67.5%
24 鹿児島県 88.3% 72.1% 68.9% 61.9% 44.4% 67.1%
25 沖縄県 85.7% 81.8% 81.8% 42.9% 42.9% 67.0%
26 北海道 70.2% 68.0% 67.3% 63.5% 57.4% 65.3%
27 京都府 61.4% 64.1% 65.1% 60.9% 73.8% 65.1%
28 富山県 75.0% 75.0% 75.0% 50.0% 50.0% 65.0%
29 群馬県 50.0% 66.7% 75.0% 66.7% 58.3% 63.3%
30 熊本県 83.3% 56.5% 59.1% 54.5% 59.1% 62.5%
31 徳島県 61.9% 58.7% 66.7% 63.3% 58.6% 61.9%
32 愛媛県 45.5% 63.6% 63.6% 69.2% 61.5% 60.7%
33 石川県 58.3% 50.0% 85.7% 28.6% 78.6% 60.2%
34 三重県 80.0% 80.0% 33.3% 40.0% 40.0% 54.7%
35 静岡県 60.0% 33.3% 41.7% 58.3% 61.5% 51.0%
36 香川県 36.4% 41.7% 83.3% 45.5% 40.0% 49.4%
37 茨城県 70.0% 60.0% 42.9% 5.3% 45.0% 44.6%
38 山梨県 44.4% 55.6% 33.3% 55.6% 28.6% 43.5%
39 岩手県 43.9% 53.0% 53.0% 27.3% 37.9% 43.0%
40 佐賀県 100.0% 0.0% 14.3% 42.9% 57.1% 42.9%
41 島根県 40.0% 40.0% 40.0% 40.0% 50.0% 42.0%
42 青森県 38.5% 46.7% 46.7% 33.3% 40.0% 41.0%
43 奈良県 30.0% 40.0% 60.0% 30.0% 41.7% 40.3%
44 宮崎県 85.7% 50.0% 35.7% 12.5% 12.5% 39.3%
45 秋田県 15.4% 38.5% 38.5% 0.0% 18.2% 22.1%
46 高知県 50.0% 25.0% 0.0% 0.0% 25.0% 20.0%
47 大分県 28.6% 28.6% 42.9% 0.0% 0.0% 20.0%

各年度の充足率(マッチ者数÷定員)を単純平均した順位。上の合計ベースの表とは、年ごとの定員変動の影響の受け方が違うため、順位が入れ替わる県があります。

上位は宮城・東京・岡山・福岡・大阪。いずれも歯学部・歯科大学の付属病院がある都市部で、充足率は9割を超えます。下位の大分・高知・秋田は2割前後。大分県にいたっては令和7年度、県内8枠に対しマッチ者0人でした。研修医が歯学部のある都市部に集まり、地方の枠が埋まらない構図です。

ひとつ断っておくと、この表は「その県の枠がどれだけ埋まったか」であって、県ごとの定員規模はまるで違います。東京都の5年定員2,994人に対し、富山県は20人です。

4. 大学病院ランキング

充足率TOP20(5年合計)

順位 施設名 5年マッチ / 定員 充足率 R7 マッチ / 定員 参加
1 大阪歯科大学附属病院(大阪府) 695 / 695 100.0% 135 / 135 5年
2 昭和医科大学歯科病院(東京都) 500 / 500 100.0% 100 / 100 5年
3 日本大学松戸歯学部付属病院(千葉県) 380 / 380 100.0% 70 / 70 5年
4 九州大学病院(福岡県) 340 / 340 100.0% 68 / 68 5年
5 東京医科歯科大学病院(東京都) 300 / 300 100.0% 60 / 60 5年
6 朝日大学医科歯科医療センター(岐阜県) 250 / 250 100.0% 50 / 50 5年
7 東京歯科大学千葉歯科医療センター(千葉県) 110 / 110 100.0% 22 / 22 5年
8 朝日大学病院(岐阜県) 100 / 100 100.0% 20 / 20 5年
9 神奈川歯科大学附属横浜クリニック(神奈川県) 80 / 80 100.0% 16 / 16 5年
10 朝日大学PDI岐阜歯科診療所(岐阜県) 50 / 50 100.0% 10 / 10 5年
11 東京大学医学部附属病院(東京都) 35 / 35 100.0% 7 / 7 5年
12 東京医科大学病院(東京都) 25 / 25 100.0% 5 / 5 5年
13 公立大学法人 横浜市立大学附属病院(神奈川県) 20 / 20 100.0% 4 / 4 5年
14 東海大学医学部付属病院(神奈川県) 20 / 20 100.0% 4 / 4 5年
15 自治医科大学附属病院(栃木県) 16 / 16 100.0% 4 / 4 5年
16 東京慈恵会医科大学附属病院(東京都) 15 / 15 100.0% 3 / 3 5年
17 大阪医科薬科大学病院(大阪府) 15 / 15 100.0% 3 / 3 5年
18 近畿大学病院(大阪府) 15 / 15 100.0% 3 / 3 5年
19 兵庫医科大学病院(兵庫県) 15 / 15 100.0% 3 / 3 5年
20 関西医科大学附属病院(大阪府) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年

同率の場合はマッチ者数の多い順。「参加」は5年のうちマッチングに参加した年数。

大学病院102施設のうち、5年間の充足率100%は20施設でした。トップの大阪歯科大学附属病院は5年間で定員695人が全て埋まり、1人の空席も出ていません。昭和医科大学歯科病院(旧・昭和大学)、日本大学松戸歯学部付属病院、九州大学病院、東京医科歯科大学病院(現・東京科学大学)も同様に5年連続満枠です。私立歯科大学の大規模プログラムと、都市部の国公立大学に人気が集中しています。

埋まりにくい大学病院(5年定員10人以上・充足率が低い順)

順位 施設名 5年マッチ / 定員 充足率 R7 マッチ / 定員
1 高知大学医学部附属病院(高知県) 4 / 30 13.3% 0 / 6
2 大分大学医学部附属病院(大分県) 5 / 30 16.7% 0 / 6
3 秋田大学医学部附属病院(秋田県) 7 / 35 20.0% 2 / 7
4 佐賀大学医学部附属病院(佐賀県) 8 / 25 32.0% 2 / 5
5 奈良県立医科大学附属病院(奈良県) 20 / 50 40.0% 4 / 10
6 旭川医科大学病院(北海道) 8 / 20 40.0% 1 / 4
7 島根大学医学部附属病院(島根県) 8 / 20 40.0% 3 / 4
8 岩手医科大学附属内丸メディカルセンター(岩手県) 138 / 325 42.5% 24 / 65
9 京都大学医学部附属病院(京都府) 35 / 80 43.8% 9 / 15
10 国立大学法人 三重大学医学部附属病院(三重県) 14 / 30 46.7% 1 / 6

下位には地方国立大学の医学部附属病院(歯科口腔外科系)が並び、高知大学と大分大学は5年間の充足率が2割を切りました。単独の空席数で見ると、愛知学院大学の出向研修プログラム(令和7年度・空席39)、奥羽大学の地域医療短期研修プログラム(同38)、岩手医科大学の複合型プログラムB(同35)あたりが大きく、地方・大型の複合型プログラムほど埋まっていません。

5. 市中病院ランキング

充足率TOP15(5年合計)

順位 施設名 5年マッチ / 定員 充足率 R7 マッチ / 定員 参加
1 関東労災病院(神奈川県) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
2 春日井市民病院(愛知県) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
3 大阪府済生会中津病院(大阪府) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
4 医療法人徳洲会 松原徳洲会病院(大阪府) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
5 神戸市立医療センター中央市民病院(兵庫県) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
6 国立病院機構九州医療センター(福岡県) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
7 鹿児島市立病院(鹿児島県) 9 / 9 100.0% 2 / 2 5年
8 大阪急性期・総合医療センター(大阪府) 7 / 7 100.0% 3 / 3 5年
9 藤沢市民病院(神奈川県) 6 / 6 100.0% 2 / 2 5年
10 広島赤十字・原爆病院(広島県) 6 / 6 100.0% 2 / 2 5年
11 国立病院機構仙台医療センター(宮城県) 5 / 5 100.0% 1 / 1 5年
12 聖路加国際病院(東京都) 5 / 5 100.0% 1 / 1 5年
13 町田市民病院(東京都) 5 / 5 100.0% 1 / 1 5年
14 東京都立広尾病院(東京都) 5 / 5 100.0% 1 / 1 5年
15 東京都立駒込病院(東京都) 5 / 5 100.0% 1 / 1 5年

市中病院172施設のうち、5年連続で満枠だったのは49施設。関東労災病院、春日井市民病院、神戸市立医療センター中央市民病院、国立病院機構九州医療センターなど、口腔外科研修ができる有力総合病院が並びます。ほとんどが定員1〜2人の少数枠で、毎年確実に埋まる「狭き門」です。表に載せた以外にも、聖路加国際病院や都立病院各院など、定員5人規模で5年間満枠の病院が多数あります。

6. 診療所ランキング

充足率TOP20(5年合計)

順位 施設名 5年マッチ / 定員 充足率 R7 マッチ / 定員 参加
1 医療法人社団大志 北上尾歯科(埼玉県) 14 / 14 100.0% 3 / 3 5年
2 医療法人社団 徹心会 ハートフル歯科医院(東京都) 10 / 10 100.0% 2 / 2 5年
3 パラシオン歯科医院(埼玉県) 6 / 6 100.0% 2 / 2 3年
4 ふれあいの丘デンタルクリニック秋庭矯正歯科(神奈川県) 6 / 6 100.0% 2 / 2 3年
5 鎌倉大船歯科・矯正歯科(神奈川県) 6 / 6 100.0% 6 / 6 1年
6 医療法人翠章会 すまいる歯科(愛知県) 5 / 5 100.0% 1 / 1 5年
7 たぼ歯科医院 西口(埼玉県) 4 / 4 100.0% 2 / 2 2年
8 中央歯科クリニック(愛知県) 2 / 2 100.0% 1 / 1 2年
9 しんくら歯科医院(岡山県) 1 / 1 100.0% 1 / 1 1年
10 医療法人至誠会 たんぽぽ歯科(神奈川県) 26 / 27 96.3% 6 / 6 5年
11 医療法人社団翔志会 たけち歯科クリニック(京都府) 13 / 14 92.9% 2 / 2 5年
12 港スワン歯科・矯正歯科(愛知県) 22 / 24 91.7% 6 / 6 5年
13 医療法人社団歯友会 赤羽歯科(赤羽)(東京都) 35 / 40 87.5% 8 / 8 5年
14 ゲートタワースワン歯科・矯正歯科(愛知県) 21 / 24 87.5% 5 / 6 5年
15 イオンモール姫路大津歯科(兵庫県) 21 / 24 87.5% 6 / 6 4年
16 医療法人社団大志会 今井歯科EAST(埼玉県) 12 / 14 85.7% 3 / 3 5年
17 きたならエキ歯科(千葉県) 18 / 22 81.8% 8 / 8 4年
18 ライオン歯科(神奈川県) 9 / 11 81.8% 1 / 3 4年
19 医療法人慈皓会 波多野歯科医院(埼玉県) 12 / 15 80.0% 2 / 3 5年
20 医療法人明徳会 青葉第二歯科(宮城県) 8 / 10 80.0% 3 / 4 4年

診療所139施設のうち、5年間(参加年ベース)の充足率100%は9施設だけでした。北上尾歯科(埼玉)、ハートフル歯科医院(東京)などは毎年満枠です。たんぽぽ歯科(神奈川)、赤羽歯科(東京)、港スワン歯科・矯正歯科(愛知)のように、まとまった定員を高い充足率で維持する研修診療所もあります。その一方で、5年間マッチ者ゼロの診療所も複数あります。診療所間の差はとにかく大きい。

7. 5年分を見て分かること

5年分を並べてみて一番はっきりしているのは、二極化です。人気の大学病院と有力市中病院は毎年満枠のまま動かず、そのあいだに全体の空席だけが1.6倍に増えました。同じ「大学病院」でも、都市部の歯科大学と地方の医学部附属病院ではまったく別の世界になっています。地域も同じで、歯学部のある都市部に研修医が集まり、地方では県内の枠がほとんど埋まらない年すらあります。地域医療の担い手をどう確保するかという話は、この数字を見る限り年々厳しくなっています。

これから研修先を選ぶ学生の目線で書いておくと、全体では枠が余っているので、行き先がなくなる心配はまずありません。ただし人気施設の枠は毎年きっちり埋まります。第一志望の下に現実的な志望順位を並べておくこと、充足率100%が続く施設を狙うなら見学・応募を早めに動くこと。この2つで大半は足ります。逆に診療所や地方の枠は空きが多いので、症例数や指導体制など中身で選べる状況です。

データと注意点

  • 集計元:歯科医師臨床研修マッチング「マッチング結果(別添)研修プログラム別マッチング結果」令和3年度〜令和7年度(歯科医師臨床研修マッチングプログラム公表資料)。5年分・延べ2,293プログラムを集計。
  • 全行で「定員=マッチ者数+空席」が成立することを確認済み。
  • 定員充足率=マッチ者数÷募集定員。プログラム別の応募者数は非公表のため、応募倍率ではない。
  • 施設タイプは施設名から分類:「大学」を含む施設(附属クリニック等を含む)=大学病院、それ以外の病院・医療センター=市中病院、歯科医院・クリニック等=診療所。
  • 施設ランキングは施設単位(同一施設の複数プログラムを合算)。5年の途中から参加した施設は参加年のみで集計。
  • 歯科医師国家試験の合格者数(第118回:受験3,039人・合格2,136人・合格率70.3%)はWHITE CROSS掲載の結果記事による。
  • マッチ者数には、マッチング後の国家試験の合否は反映されていない。
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