TeethON塾長です。 今回は医師国家試験118F44からの抜粋になります。 以前、歯科医師国家試験にも同じような問題が出ましたが、正答が割れてしまいました。 次出題される場合は、このような形式で出題されると想定されました。
38歳の女性。めまいと頭痛を主訴に来院した。2か月前に部屋の内装を改修した。改装後から帰宅するとめまいおよび頭痛を自覚するようになった。天気が快晴で窓を開けていると症状は楽だが、雨の日は調子が悪い。この症状の原因と考えられる化学物質はどれか。
a. オゾン
b. エタノール
c. 二酸化窒素
d. フロンガス
e. ホルムアルデヒド
正答:e ホルムアルデヒド
この問題は、「シックハウス症候群(sick house syndrome)」 の理解を問う基本問題です。
国家試験では、「改装」「新築」「密閉」「雨の日に悪化」などのキーワードが出たら、ホルムアルデヒドを即答できるようにしましょう。
シックハウス症候群とは、住宅の建材・接着剤・家具などから放出される**揮発性有機化合物(VOC)**により、居住者が頭痛・めまい・倦怠感・のどの痛みなどを訴える環境疾患です。
中でも代表的なのが、**ホルムアルデヒド(formaldehyde)**です。
化学式:HCHO
匂い:刺激臭(ツンとする臭い)
主な発生源:合板・壁紙接着剤・防腐剤・家具塗料
特徴:揮発しやすく、室温上昇や湿度上昇で濃度が上がる
規制:厚生労働省により室内濃度基準値:0.08ppm以下
症状 シックハウス症候群で多いもの
頭痛・めまい 揮発性化学物質の吸入による自律神経症状
目・のどの刺激感 粘膜刺激性
倦怠感・不眠 中枢神経への影響
雨の日・換気不良で悪化 換気不足で濃度上昇
晴天時・窓開放時で改善 → 換気により濃度低下。
雨天時・閉鎖空間で悪化 → 揮発ガスがこもる。
項目 内容
病態名 シックハウス症候群
原因物質 ホルムアルデヒド(HCHO)などのVOC
主な対策 換気・内装材の選定・規制基準遵守
検査方法 室内空気中ホルムアルデヒド濃度測定
関連疾患 化学物質過敏症(MCS)
歯科の臨床現場でも、改装直後の診療室・新築住宅・新規開設クリニックで、めまい・頭痛を訴えるスタッフや患者が出た場合、環境因子(ホルムアルデヒドなど)を疑うことが重要です。
特に歯科診療所では、
レジン系接着剤
合板を使用したキャビネット
揮発性薬剤(有機溶剤)
など、VOC発生源が複数存在します。
「患者の訴えが診療時間中のみ出る」といった場合も、環境要因のチェックが必要です。
🪟 換気を徹底する
定期的な換気でホルムアルデヒド濃度を低下。
🧱 低ホルムアルデヒド建材の使用
「F☆☆☆☆(フォースター)」表示の建材を選ぶ。
🪑 家具や内装の選定
新品家具はしばらく屋外でガス抜きを行うと良い。
「改装後」「新築」「雨の日に悪化」「めまい・頭痛」= ホルムアルデヒド(シックハウス症候群)
換気で改善する → 揮発性有機化合物(VOC)由来。
臨床現場でも環境因子を疑うことが大切。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp240424-01seitou.pdf