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ある患者の採血結果で、血清K値が7.0mEq/Lであると検査室から連絡があった。
血液検査の再検に加えて、まず行うべき検査はどれか。
a. 血糖測定
b. 腹部単純CT
c. 心エコー検査
d. 12誘導心電図検査
e. 胸部エックス線撮影
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正答:d. 12誘導心電図検査
血清K値が7.0mEq/Lというのは致死的不整脈を起こす緊急レベル。
まず行うべきは、心電図による不整脈の有無の確認である。
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高カリウム血症(Hyperkalemia)は、心筋の興奮伝導を著しく変化させる。
心電図上の典型的変化を段階的に整理すると以下の通り。
段階 血清K値 心電図所見
軽度上昇 5.5〜6.5 テント状T波(高く尖るT波)
中等度上昇 6.5〜7.5 PQ延長、QRS幅の拡大
高度上昇 7.5以上 洞停止、心室細動、心静止
このため、“再検+12誘導心電図”を同時に行うことが臨床判断上の鉄則。
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高K血症対応のステップは次の通り。
1. 再検査:偽高K血症(採血時溶血など)を除外
2. 心電図チェック:致死的不整脈を見逃さない
3. 心筋保護:グルコン酸カルシウムを静注
4. カリウム細胞内移行:インスリン+ブドウ糖投与、β2刺激薬吸入
5. 排泄促進:利尿薬または透析
ポイントは、**「再検しながら心電図を取る」**という同時進行。
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この問題は、単なる知識ではなく「異常値をどう判断し、何から動くか」という臨床的優先順位を問う。
つまり、“再検”よりも先に命に関わるリスクを見極める判断力が重要。
国家試験では以下のような出題パターンが多い。
「まず行うべき検査はどれか」
「検査室から異常値の連絡を受けた」
「血清K値が高値を示した」
これらのキーワードを見たら、12誘導心電図検査=最優先対応と即答できるように。
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血清K値7.0mEq/Lは緊急事態
再検と同時に心電図を行う
高K血症ではテント状T波やQRS延長に注意
致死的不整脈を防ぐには迅速な初期対応が鍵
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